睡蓮の花が咲く

 昨日、友だちと名古屋市美術館の「ポーラ美術館コレクション展」をのぞいてきた。いやー、19世紀後半から20世紀前半にかけての印象派、エコール・ド・パリの作品群は見ごたえがありましたぞ。
 印象派ではルノアール、モネ、シスレーセザンヌゴッホシニャックなどの作品が展示してある。ワシャは個人的にはモネが好きなのだが、そのモネの「睡蓮」も含めてどの作品も一様に明るい。産業革命後の欧米経済が顕著に伸びた時代背景を敏感に感じているのだろう。未来への希望がカンヴァスからあふれんばかりだ。
 これに対して印象派の後を受けるエコール・ド・パリ(パリ派)の絵は暗色が多用されている。例えばピカソの初期の作品である「海辺の母子像」は性病を患う娼婦とその子供を、青を基調として描いている。ピカソの「青の時代」を代表する作品である……が、実に暗い。ユトリロの作品も5点が掲出されていた。20世紀初頭のパリの風景である。「シャップ通り」などは名品だが、一様に暗い。空が晴れないのだ。青空の多い印象派絵画と対称的である。パリ派が台頭してくる時代は、すでに帝国主義が熟し切って、次なる動乱(第一次世界大戦)の余震のようなものがパリの町でも感じられたのだろう。その兆しを画家たちは見逃さなかった。
 100年前のモンマルトルの雰囲気を味わうこと2時間、その後、納屋橋まで出て、ささやかな忘年会をする。いやー、鶏のわさび和えはツーンときましたが、絶品でした。お酒を三合ばかりいただき、ほろよいで広小路を名駅までそぞろ歩く。少し寒かったけれど、酔いざましにはちょうどよい距離でありました。