混迷の愛知県知事選

混迷の愛知県知事選
【御園慎一郎氏】
 この候補が現知事の神田さんに最も近い考え方をしている。自民、民主などという政党色は関係ない。県職員は御園氏が選ばれることで、神田県政がそのまま継続し波風が立たないことを願っている。要するに守旧派ということである。これに反旗を翻したのが、
重徳和彦氏】
 39歳の若手官僚であるが、霞が関に巣食っている守旧派のキャリアとは一線を画している。地域での活動にも目を見張るべきものがある。だから、御園氏との実質一騎打ちになれば、守旧派VS改革派でおもしろい戦いになると思っていたのだが……
大村秀章氏】
 大事な場面にきて大村氏のおっちょこちょいが出てしまった。河村名古屋市長というポピュリストの尻馬に乗っての知事選参戦など愚の骨頂である。大村氏はけっしてモノは悪くない。やや軽躁なところが見受けられるが、代議士ならば、多少、軽躁でもその才能をいかんなく発揮できる。そのまま13区から出ている国会議員として国政で活躍して欲しかった。でも、河村さんに唆されて、美点でもあるその軽さが悪いほうに出た。
ワシャは大村さんの選挙区に長年住まうものであるが、彼の口から積極的な国家論を聴いたことがない。テレビでのバラエティでも条件反射的なディベートは出来ても、芯の通ったビジョンを耳にしたことがない。
ここにきて河村名古屋市長や橋下大阪府知事の焼き直しで「10%減税」や「中京都」構想を打ち出しているが、付け焼刃付け焼刃……。

 それぞれの演説や伝わってくる評判などを客観的に分析すると今回の愛知県知事に立候補表明をした中ではやはり重徳氏が一番モノがいいと思う。愛知県を強くしようとすれば、重徳氏を選択することがまず間違いない。御園氏との一騎打ちであれば、若さと改革派のイメージでいい戦いができると踏んでいたのだが、おっちょこちょいの大村氏の参戦で、重徳氏の票が大きく目減りした。それでなくとも少ない自民票を、2人で食い合うのである。このことを大村氏はどうして冷静に考えられなかったんだろう。愛知の将来を考えれば、自民は一本で民主と対峙すべきであって、兵力を分散して勝てる道理がなかろう。これでは愛知の守旧派を追い込むことはできない。
 ポピュリストは名古屋だけに押さえ込んでおきたかったが、愛知県にまでその悪影響が及ぶとなるとこれは県民の一人として座視できるものではない。名古屋市議会も、もっと頑張れよ。