ライブは楽し その2

 後半のトップは、インスタントジョンソンというトリオだった。うらなりの大ボケ担当のジャイ、デブでチビの小ボケ担当のゆうぞう、背が高く二枚目のツッコミ担当のすぎ、キャラクターがそれぞれ立っていて判りやすく、3人が上手くかみ合って、誰かが遊んでしまうということがない。ショートコントを幾つか披露し、本ネタは「カラオケボックスで医者を接待する営業」と「甲子園の応援」の二つ。ダチョウ倶楽部の弟分とのことだが、ダチョウより芸達者だ。このまま芸を積んでいけば、本格的なトリオ漫才を極められるかも。
 本格的と言えば、U字工事もそうだろう。彼らも導入部のアドリブがいい。いわゆる古いタイプの漫才なのだが、それがむしろ新しくみえる。サンドウィッチマンと同様にかなり勉強している。話に厚みがあるというか、奥行きがあるというか、ただの出たがり兄ちゃんではない。
 トリは、東京03、トリオ漫才。こちらは、インスタントジョンソンほどキャラが立っていない。三人ともすらりとした細身で、170〜175センチくらいだろう。両サイドの豊本と角田が眼鏡をかけているくらいで、どこにでもいそうなニーチャンといった印象である。しかし、2009年に「キングオブコント」の王者になっており、実力は充分にあると見た。
 ただ、導入部に披露した「ゴルフ場」というネタで、ゴルフボールを置くところが、ぞんざいになっている。笑いにつながらない部分でも細部のディテールをきっちりと演じなければ、次の段階には進めないぞよ。好感のもてるトリオだけに、今後の精進を之望む。

 今回、6組のお笑いタレントを観たわけだが、6組とも関東系のお笑いだった。そのためだと思うが、(トイレネタはあったものの)全体に品が良かった。ワシャが都会の人間のせいか(笑)どうもよしもと系のこてこて関西弁漫才は耳がついていけない。よしもと系の持つ独特のアクも歯牙に合わない。それによしもと系は(一概には言えないが)すぐに芸から離れバラエティに走る。そんなところも嫌いだ。
 それに比べて今回の6組(加納英孝には多少限界を感じるが)は、精進次第で今後、漫才界において名を成していく可能性を垣間見た。「がんばれー」と心の中で応援しておく。
 ジャーナリストの日垣さんが9月のセミナーで「ライブの醍醐味」について話をされたが、今回の若手漫才大会でもそのことを痛感した。加納英孝が、同じネタをやってもテレビでは面白くないのだ。ホールの舞台で生加納が動き回って、直接、客とやり取りをすることでライブ感が高まって、些細なしぐさにも笑いが起こるようになる。
 バーチャルなものがあふれる昨今、歌舞伎でもオペラでも落語でも漫才でも、そこに足を運んで、演者と同じ空間に身を置いてみる。この醍醐味にまさるバーチャルはありません。そう思いませんか。