胡散臭い人 その1

 以前、骨折をして市内にある病院に通院しているときのことである。
ワルシャワ様、ワルシャワ様」
 と患者を呼び出すときに「様」付けで呼ぶのである。ワシャは「様」を付けられるほど立派な人物ではないので「様はやめてください。さんでお願いします」と受付の事務員に申し出た。でも、「ルールは曲げられません」と言われ、その後も「ワルシャワ様」と呼ばれ続け、尻のこそばゆい思いをした。
 先日、湿布をもらいに同じ病院に出かけた。
ワルシャワさん、ワルシャワさん」
 と患者を呼び出している。およよ、「様」から「さん」に変えたんだね。それでいいのだ。

 一昨日、テレビで高知県の病院の驚くべき変身が報道されていた。患者が押し寄せているのである。それはなぜか。患者数の増加には、ある接遇講師の存在があった。
 平林都
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E6%9E%97%E9%83%BD
 この世界ではかなり有名な存在らしい。しかし、ワシャは知らなかったけどね。そんなことはどうでもいい。この人、患者数の減る高知の病院に依頼されて、病院関係者の接遇を徹底的に改変した。患者の呼び方もそうだ。「ワルシャワさん」と読んでいたのを「ワルシャワ様」に変えたのだそうな。その理屈はこうだ。
「人生の経験者に向けて『様』付けするのは当たり前。医者でも患者でも同等。患者のほうは『先生』と言ってくれてるから、『様』を付けるのは当たり前」
 違うな。まず、医者と患者は同等ではない。医者は患者の病気を治す専門家なのである。時には命さえ委ねなければならぬ相手でもある。その立場からいって「同等」「対等」ではけっしてない。それに患者は看護婦のことを「看護婦先生」「看護婦様」とは呼ばないから、対等であるなら「患者さん」「看護婦さん」でいいだろう。
 まぁ、そんな些末なことはどうでもいいが、受付の女性にコンパニオンのような制服を着せて、待合室で診察を待つ患者に膝を屈してお茶を配っている姿に腰を抜かしましたぞ。ワシャは腰が悪いのに、なんてことをしてくれるんだ。そんなこともどうでもいいが、この病院はキャバクラか。
(下に続く)