久々本屋 その2

(上から続く)
 あったあった。ここだ。
 江戸川の堤で、満男を遊ばせながら土手の草むらに腰を下ろして、博とさくらが寅さんとリリーがお似合いだと語り合っているシーンである。
さくら「じゃあ、兄さんとリリーさんが結婚したらどうなると思う?」
博「うまく行くと思うなあ。リリーさんなら兄さんをちゃんとコントロールできるだろうし」
博「なんていったって、リリーさんは苦労して来た人だからなあ。案外うまく行くんじゃないのかな」
 勘兵衛の「過去の苦しい経験」というところから「苦労人」リリーを思い浮かべてしまった。多分、両者には時代背景や物語は違っても共通するものが多々あるんだろう。二人とも過去に人には言えないような苦労を積んできているから、どちらも素晴らしい輝きを持った人物となっている。
 ああ、ワシャなんか、平々凡々とのんべんだらりと人生を費やしてきただけだから、勘兵衛やリリーのように辛酸を嘗めてきたわけでもないから、人物が薄っぺらでいけない。もう一頑張りしないと……。