新帝国主義の時代(前編)その1

 意外に思われるかも知れないが、ワシャはファシズムも嫌いだし、全体主義も嫌いだ。基本的に天邪鬼なのである。青年団的団体行動が苦手で、小学校の頃から、みんなと同じ方向を目指すのが嫌だった。だから、スターリンの全体国家ソ連だったら、真っ先にシベリア送りになってカチンカチンに凍っていただろう。
 でもね、この国の変化に富んだ風土が好きで、この国の穏やかな民草が好きで、この国の独特の歴史が好きなことでは人後に落ちない。この国に仇なすものはワシャの敵だし、この国を貶めんとする連中は許さない。
 そういった意味から、昨日の勝谷誠彦さんのメルマガは目から鱗が落ちた。勝谷さんはロシアが「対日戦勝記念日
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100902/erp1009022018005-n1.htm
を実施したことを取り上げて、こう警告をしていた。
《いまや世界は帝国主義の時代に戻りつつある。》
 ワシャも雰囲気のようなものを薄々は感じていた。しかし、勝谷さんに明確に言われてみれば、それは雰囲気ではなく現実の動きだったんだね。中華共産党帝国、ロシアユーラシア帝国、アメリカ自由帝国、欧州帝国、イスラム帝国……。
「世界は一つ」「人類は兄弟」「話し合いでなんでも解決する」などと寝ぼけたことを言っていると、新帝国主義の荒波の中では生き残ってはいけまい。すでに北方四島はロシアのものだし、東シナ海の資源は中国のやりたい放題だ。そのうちに尖閣諸島も沖縄列島も「中国のものアルヨ」と言い出すに決まっている(もう言っていました)。そんな帝国の横暴に、卑屈な態度をとり続けた結果、韓国にすら馬鹿にされて、竹島を実効支配されている。嗚呼、情けない。

 知人が先月、上海に行った。万博が目当てではなく、上海周辺に出来つつある大規模な工場や研究施設、大学などを視察するためだった。知人は、そのスケールの大きな開発に息を飲んだということだった。さすがに全体主義国家、やることが明確だ。国力を上げるためには、住民の権利など紙よりも薄い。ごっそりとその地区に住む住民を引きはがし、あっというまに造成工事をして企業誘致を図る。さすがに全体主義国家、やることが早い。
 知人は、そこでの説明に愕然としたという。
 巨大な工場が最新鋭の技術で建設されていた。日本でもこれほど大きな工場は見たことがない。どこの企業かとよくよく見れば、「シャープ」だった。
「シャープも中国に進出するのか」
 と思っていたら、中国人ガイドは恐るべきことを言い放った。
(下に続く)