荘子への送辞 その1

 昨年の10月18日から始まった呉智英さんの「荘子」の勉強会が、10回目を迎えてついに終了した。金谷治訳注『荘子』(岩波文庫)の第一冊[内篇]を読了したことになる。おそらく『荘子』はこういった機会でもなければ読まなかっただろう。
 2008年2月24日に始まった『論語』から数えて30回、思えば長い道のりじゃった。
論語』の学而篇「子のたまわく、学びて時にこれを習う、またよろこばしからずや……」名古屋公会堂の寒い会議室で声を張り上げたのが、「明言塾」の産声だった。
 最後に読んだのは『荘子』応帝王篇「人みな七竅(しちきょう)ありて、もって視聴食息す、此れ独り有ることなし。こころみにこれを穿たんと。日に一竅を穿てるに、七日にして渾沌(こんとん)死せり」である。
いわゆる「渾沌に七竅を穿つ」というやつですな。これは、なまなかな人知を用いる悲劇を説いた寓話である。
 物語はこうだ。
 神様が3人いた。儵(しゅく)、忽(こつ)、そして渾沌である。どうやら儵と忽は人間型の神様らしい。目も鼻も口も耳もある。渾沌は人間型ではないので、目も鼻も口も耳もない。ワシャのイメージとしてはスライムのでかいヤツって感じでしょうか。
(下に続く)