極端にはしる風潮 その1

 夕べ、読書会。課題図書は、枝野幸男『「事業仕分け」の力』(集英社新書)。
 先週の土日曜日に、近くの自治体で、まさに「事業仕分け」が行われていたので、その成果も含めて喧喧諤諤の読書会になった。その議論も含めて、ワシャなりに「事業仕分け」について思うついたことを記しておく。
 まず、国で行われた「事業仕分け」なるものは、国にはそぐうのかも知れないが、地方自治体、それも基礎自治体にはそぐわないと思う。その理由は、基礎自治体の事業というものが住民に直結したものばかりで、もともと無駄な部分が殺ぎ落とされていることが多く切り込み幅が少ないということ、それに関係者が目の前にいるのである。あるいは5分もあれば、電話をすれば利害関係者がすぐにとんできて、なぜその補助金が必要なのか諄諄と諭す。その一人一人が首長の知り合いなのである。枝野さんや蓮舫さんが舌鋒鋭く切り込んでいくなどという芸当はできない。
事業仕分け」のパフォーマンスをやった某自治体では、40の事業が仕分け対象とされたが、廃止は4、それ以外のことごとくは継続あるいは事業の見直し、というものになった。関係者に話を聴けば、廃止となった4つの事業はスケープゴードとして俎上に載せられたもので、出来レースとは言わないが、かなりその手の匂いのするショーだった。
 職員のプレゼン能力の研修、ディベートの研修というならば一定の成果がみられたとは思う。しかし、効率的な仕分けが出来たとは到底思えぬ。某自治体は、「事業仕分け」のコンサルタントに何百万円かの委託料を払っている。そのコンサルタントは、全国の自治体で事業選別等の業務に携わってきた跳ねっ返りの目立ちたがりを選抜しチョイスをして送り込んでくる。もちろん彼らはその自治体の事情をまったく知らないから、原則論で仕分けてくる。
「市民から本当に求められているか?」
まず、必要性を確認する。
「市が本当にやるべき仕事か?」
国、県、あるいは市民自身がやるべきことではないのかと突っ込む。
「来年度、やるべきことなのか?」
 要するに緊急性の問題点を洗い出す。
「事業の内容、組織、制度などに改良の余地はあるのかないのか?」
以上の議論を尽くし、最終的に予算の妥当性を問う。簡単に言えばそれだけのことなのだ。
(下に続く)