小唄と南西諸島と女伊達

 昨日、小唄を聴きに岡崎までゆく。なかには落語の「寝床」ばりの旦那衆の小唄もあったけれど、概ねはしっとりとしたいい小唄と三味線だった。
「まん月や〜葉ごし柳の涼風に〜吹かれて歩む〜二人づれ〜」
 ときたもんだ。
 小唄の会の後は、遅い昼食を兼ねて料理屋で一杯。昼間からの酒は効きますねぇ。あんまり呑みたくはないんですがこれも義理ですから(笑)。
 この席を1時間ほどで辞して、次の席に走った。地元の有志が自衛隊の幹部を呼んで、昨今の東アジア情勢などを聴く会があって、そこにもちょいと義理があるので顔をだす。
 こちらのほうは本格的な宴席で、会費もしこたま徴収されましたぞ。気心の知れた仲間数人と、居酒屋でこのわたなんぞを肴にして美味しいお酒をちょこっといただくってえのが乙なんですが、宴席ではそうも言ってられまへん。180cmを超すような体格の自衛官を何人も向こうにまわしての、注ぎ合いはなかなかしんどいものがありましたぞ。
 それでも、南西諸島海域のパワーバランスがどういう状況なのか、鳩山首相の一連の発言や行動がそれにどんな影響を与えているのかが、現場サイドの話として聴くことが出来たのはラッキーだった。

 日曜日だというのに、朝から夜まで忙しい1日だった。疲れていたし、酒も入っていたので熟睡できるかと思ったが、夢ばかりを見て、結局、午前3時には目を覚ましてしまった。
 夢には一昨日、御園座で観た亀治郎が出てきましたぞ。「夏祭浪花鑑」のお辰に扮した亀ちゃんである。義理を立てるために自らの顔を焼いたお辰が花道七三にさしかかった。舞台で見送る兄貴分の女房が心配して声をかける。
「大事な顔に傷をつけてしまっては(夫の)徳兵衛さんが承知すまい」
 お辰は女房を振り返ってこう言い放つ。
「なぁに心配には及びません。うちのが惚れているのは顔じゃぁござんせん。ここに(と言ってぽーんと胸を打つ)惚れているんですよ」
 眠りは浅かったが、歌舞伎の名シーンが堪能できて、それはそれで楽しかったのだ。