御園座五月花形歌舞伎

 昨日、名古屋御園座
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夜の部に行ってきましたぞ。
 演目は「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」と「蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)」だった。出し物自体は悪くない。しかし、大御所たちが歌舞伎座の閉館公演でくたびれてしまったのか、役者が若手ばかりの編成になっているのが寂しい。座長級が翫雀亀治郎ではねぇ……。その他の名代役者も愛之助男女蔵、亀鶴、種太郎、薪車、宗之助、吉弥、竹三郎、門之助って歌舞伎座なら二軍クラスでっせ。
 だからあまり期待はしていなかった。
 でもね、これがなかなか面白かった。若手がよく頑張った。「夏祭」は、団七九郎兵衛を愛之助が熱演した。本来なら勘三郎の当たり役なのだが、勘三郎ほどの芸の幅は見られなかったが、まあまあ敢闘賞をあげてもいいくらいの出来だった。
 またお辰という女房役を亀治郎が演じていたが、これが匂い立つようないい女に仕上っている。襟元というんですか、デコルテというんでしょうか、胸元を大胆に開けた着物の着こなしは、ぞくっとしましたぞ。
「梓弦」は、やはり亀治郎の一人舞台だった。すっぽんから赤いべべをきた女童がせり上がってくる。亀治郎、上手に背を盗み(着物の中で膝を曲げて小柄に見せること)、見事に女童を演じていた。その後の早変わりも、伯父の猿之助譲りの軽業で、薬売り、番頭新造、座頭、傾城薄雲が舞台狭しと掛け回る。お見事!
 それにしても亀治郎、声も動作も猿之助によく似てきましたぞ。う〜む、これからが楽しみな役者になってきたのう。
 歌舞伎は午後8時に幕となった。その後は歌舞伎仲間の皆さんと、伏見界隈でお食事をとりながらの反省会、これがまた楽しい。昔、歌舞伎に凝り始めた頃、とにかくたくさん観なければと、東京や大阪を単独で掛け回ったことがあった。でも、あの頃は寂しかったなぁ。歌舞伎座で夜の部を観終わって、晴海通りにはき出されるわけなんですが、単独なので誰とも感動を分かち合えない。独りで「良かったなぁ」とにやけながら銀座方面に歩いたものだった。
 でも、仲間と、あそこが良かった、あの役者がどうだった、と言い合っていると、お酒も一段と美味しくいただけるんですな。あ〜面白かった。