同窓会で重〜い話 その2

(上から続く)
 恩師が6人、参加してくれていた。その人たちには1970年代から以降のできの悪い高校生の変遷のようなことを聴いた。
「あきらかに1970年代、80年代、90年代と質は落ちていった」
「お前たちの方がどれほど扱いやすかったか」
 お世辞じゃないんですか。
「いやいやホントホント、最近になればなるほど親も生徒もわがままになっているというか」
「悪い連中に謙虚さがなくなったね」
「かわいげはなくなった」
「そうそう、卑怯な手を使うのに躊躇しなくなったねぇ」
「今、底辺校では教師は大変だろうな」
「お前たちはかわいかったよ」
 お世辞でしょ。
「半分ね」
 6人の恩師は皆さん定年退職をしている。彼らもまた現職中に『少年リンチ殺人』のような凄惨な事件には遭遇しなかったという。でも、やっぱり、
「こういった事件が起こりうる芽はあちこちにある。私たちは運がよかっただけだろう」
 と、最年長の先生は呟いた。

 少し話が暗かったのかもしれない。ゴマ塩頭にパンチパーマをあてたガラのワルそうなオッサン(といっても同級生)が、綺麗どころ(といっても同級生のオバさんたち)数人を引きつれて
「何を深刻そうな顔をしてボソボソやっているの」
と割り込んできた。
 女衒のようなゴマ塩パンチをよく見ると、高校時代に「絶対こいつはオカマだ」と思っていたふにゃふにゃしたヤツだった。今は、押し出しの強そうな面構えになって肉付きのいい体格をしている。ずいぶん逞しくなったんだね。黒を基調とした派手なプリントのシャツもよくお似合いで、全体を包む雰囲気は、どうみてもヤクザだ。職業をきいたら警察官だった。
 女衒の乱入を潮時にして恩師の席を辞す。周囲を見回せば、おっと、マドンナがフリーになっているではあ〜りませんか。ラッキー。もう暗い話はやーめたっと。