同窓会で重〜い話 その1

 同窓会でワル仲間と酒を酌み交わしながら、日垣隆『少年リンチ殺人』(新潮文庫)の話を出した。ヤツらの時代(ワシャの時代でもあるんだけど)、1970年代半ば頃はどうだったが聴きたかった。

 まず、手短に『少年リンチ殺人』の概要を話す。それに対して思いついたことを語ってもらった。
「喧嘩はやまほどやったけど、卑怯なことはしなかった。できなかった。当時、卑怯者のレッテルが張られるのが嫌だった」
「一般学生に手を出したことはなかったよね」
「俺たちは運がよかっただけなのかもしれない」
「一番腕白な頃でも、何時間にもわたって意識のない相手をいたぶり続けるなんてことしないような気がする」
「うん、俺たちもたいがい悪かったけれど、何かしらの歯止めみたいなものがあったような気がする」
「先生には遠慮していたしね」
ワルシャワ(ワシャのことね)に聞く限り、この本に出てくる加害者のヤツらは卑怯だよね」
「う〜ん、親や弁護士も卑怯だよな」
「でも、やっぱり俺たちは運がよかった。加害少年たちとやっていることは紙一重だった」
「しかし、俺たちは手加減を知っていた」
「うん、確かにそうだったような気もするが雰囲気に酔えばどうだろう」
「俺たちだって、よく嘘をついていた。教師だって親だって平気で騙していたよ」
「少し遠慮しながらね」
(下に続く)