官僚批判 その2

(上から続く)
 東條に引き立てられた秀才軍官僚に冨永恭次という中将がいる。無責任役人の典型であるこの男は陸軍の特攻を指揮して1844人を死地に送り出している。その壮行の辞で何度もこう言った。
「君らだけを行かせはしない。最後の一機で本官も特攻する」
 ウソである。
 冨永は、戦局が悪化すると兵を捨て、わずかな軍官僚を伴って敵前逃亡する。そして戦後も生き延び、最期は畳の上で死んだ。
 基本的に戦時中の軍官僚も、現在の霞ヶ関の官僚も同類である。上へ行けば行くほど無能な人材になっていく。なぜ官僚というのは上ほど腐っているのか、それはね、要するに卑怯でなければ出世しないからである。責任はすべて人のせいにして生き延びるからこそ高位高官になれる。東條を見よ。冨永を見よ。

 今、多くの若者が路頭に迷っている。働きたくとも仕事がないのだ。これは彼らが無能だからではない。この国の中枢に居座る東條や冨永のような秀才官僚の無能のせいなのである。
 国滅びて官僚残る。それでいいのか。