チケット騒動 その2

(上から続く)
☆固定電話の受話器を置く前に、携帯の送信ボタンを押す。「ツツツ、ツツツ」という音を確認して、固定電話の受話器を下ろす。「ツツツ、ツツツ」が「ツーツーツーツー」に変わる。話中だ。固定電話の受話器を上げて「再コールボタン」を押す。モニターに御園座の電話番号が点滅し、「ツーツーツーツー」となる☆
ここからは、☆から☆までの繰り返しとなる。とにかく間髪を入れずこの動作を繰り返す。ワシャはマシーンと化し、上記の動作を淡々と続けた。
 最初の頃は「ツーツーツーツー」だったが、途中から「こちらはNTT西日本です。お掛けになった電話番号は非常に混み合っております。少し時間を空けてからお掛けなおしください」というメッセージが流れるようになった。
 だいたい1コールで数秒かかるので、1分間に12回から15回くらい掛けられる。130回ほど掛けた10時9分のこと、受話器の音が「ツーツーツーツー」ではなく、「トゥルルルルトゥルルルル」に変わった。つながった!
 しかし、呼び出し音は30秒続いて切れてしまった。
「つながったんだから出てくれよ〜」と愚痴をこぼしながら再び単調な動作を繰り返す。10時11分にも再びつながったが、この時も誰も出てくれない。おいおい、電話の数だけ担当者を配置しておけよ。
 10時22分、260回目のコールでようやくつながりましたぞ。やったー!相手は男性の担当者だった。ワシャは希望日、昼夜の別、席の等級、枚数を伝えた。コンピュータを操作する時間が少しあって
「残念ながらご希望のお席はお取りできません」
 と担当者の優しい声が返ってきた。特別予約でかなりの席が埋まっているようだ。予測はしていたが状況は厳しい。
「では等級を上げてください」
 とワシャは言う。等級を上げれば当然ながらチケット代も上がる。でも、席がなければ仕方がない。
「その等級ですと○○番と○○番がお取できます」
 ううむ、その番号ではかなり見難い。
「他はないですか」
「少し後になりますが、○○番と○○番がございます」
 そこもけっこう見辛い。それならば前者のほうがマシだということでチケットをオーダーした。
 右往左往したが、なんとかチケットを確保することができたので、ほっと胸をなでおろしたのだった。めでたしめでたし。