いかがか総理 その2

(上から読んでね)
 第66代総理大臣の三木武夫は、演説の上手い人だった。言論に対してひたむきで、話すべき言葉を文章に起こしてじっくりと練り上げる政治家だった。その人が、作家の井上靖にこんな問いかけをした。
「どうしたらいい文章が書けるのかね」
 井上の答えはこうだった。
「いい文章を読むことです」
 残念ながら、麻生さんは間違いなくいい文章を読んでいない。「べらんめい」で無頼派を気取っているが、国会答弁やインタビューの受け答えを聴いていて、この人は言葉を大切にしない人だと感じる。う〜ん、言葉を大切にしないというか、言葉を知らないから言葉が言霊だということに気づいていないのかもしれない。どちらにしても阿呆ということなんだけれども……
「文藝春秋」11月号である.麻生さんは「強い日本を!」と題して14000字、400字詰め原稿用紙で35枚もの論文を上げている。もちろん麻生さんが書けるものではないけれども、麻生さんの署名入りで麻生さんの言葉として書かれいるので、彼の言説といっていい。
 この中で、かれはこう言っている。
《いまこそプロの政治家の出番である》
まぁ自分のことをどう思おうと勝手ですけどね。
 問題はここだ。
《国会の冒頭、堂々と私とわが自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おう》
 蛇足だが、このフレーズにある「国会の冒頭」というのは、現在、開催されている171通常国会のことではない。去年の9月に召集された臨時国会の冒頭のことなんですね。麻生さんの発言は嘘ばっかりです。これでは「いかがか総理」ではなくて「いかがわしい総理」になっちまいますぞ。