いかがか総理 その1

 麻生首相の口癖に「いかがなものか」というフレーズがある。使い方はこんな感じだ。
菅直人定額給付金についての総理の見解がころころと変わる。総理は給付金を受け取るのか、受け取らないのか、はっきりしたご答弁をお聞かせいただきたい」
麻生「予算も通っていない段階で、貰う、貰わないと言うことはいかがなものか」
 というような具合ですな。
この「いかがなものか」というのは、実に曖昧な言葉だ。相手に対して批判的な意味を込めながら「もう少し考えるべきであろう」というニュアンスも含んでいるため、相手からの反発力を弱めるという政治的な言い回しである。
「予算も通っていない段階で、貰う、貰わないなどと断言できない」
 こう、きっちりと言いきるのではなく、疑問に対して疑問をぶつけてごまかすという卑怯な話法と言っていい。
 菅さんは、二転三転する首相の発言に対して、「だから結局はどうするの?」と確認している。当然、答えは「貰う」か「貰わない」のどちらかだろう。あるいはぐっと消極的になるが「どちらとも答えられない」と言うのもありだ。しかし「いかがなものか」はその消極的な答えすらあやふやにしてしまう。だから、麻生さんは、菅さんの質問に対して何にも答えていないのと同じなのである。
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