「農奴」の余韻 その2(朝日新聞の濃度)

 チベット問題を今日の社説で取り上げている。ううむ、さすがに朝日新聞だ。中国政府に追従する文章は読んでいて胸が悪くなった。内容はこちらを読んでいただきたい。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
 北京五輪以降、ダライ・ラマの特使と中国当局者の対話が行き詰まっている理由を論説委員はこう弁明している。
チベット人チベット自治区以外にも暮らし、チベット仏教を信仰するのもチベット人に限らない。このため、ダライ・ラマの求める「自治」の範囲への疑念が、中国当局の頭から消えないのかもしれない。》
 卑屈な文章だ。
チベット人チベット自治区以外にも暮らし……》ってあーた、元々のチベットの版図は広かったんだ。現在、自治区に限定されているところはチベットの一部でしかない。だから自治区以外にチベット人がいるのは当たり前だし、本来ならそのエリアも含めてチベット人のものではないか。
ダライ・ラマの求める「自治」の範囲への疑念が、中国当局の頭から消えないのかもしれない。》
 ダライ・ラマ14世は、独立を言ってはいない。高度な自治を求めているのである。人は他人を自分の物差しでしか計れない。中国政府には、その要求が「盗った土地すべてを返せ」と言っているようにしか聞こえない。朝日新聞は、そのあたりにおもねりながら、こう言っている。
ダライ・ラマさん、今更、全部返せというのは厚かましいですよ。そんなことを言えば中国が不愉快に思いますよ」
 そして社説の最後をこう締めている。
《日本政府はチベット騒乱後、欧米のように大声ではなく、静かにねばり強く中国に対話路線を説得した。「メンツを大切にした日本外交が功を奏した」という声が中国内で出たほどだ。日本流の働きかけを続けるべきだ。》
 はぁ?どこの政府が静かにねばり強く説得したんですって?チベットの弾圧に対して、欧米のように毅然たる態度もとれずに卑屈にへらへら愛想笑いをしていただけじゃないか。朝日新聞はそれを「是」としている。どこの国の新聞なんだ。中国に「メンツを大切にした日本外交が功を奏した」と頭をなぜられてもねぇ。というか、中国が誉めるということは、日本の動きは中国の国益に適った行動だったということだ。それは取りも直さず日本の国益には反していたということになる。嗚呼、バカが報道をやっている。