背水の陣

史記」の「淮陰侯列伝」(わいいんこうれつでん)に「背水の陣」があるわけだが、いやー、2200年前の兵法に21世紀のサラリーマンが助けられた淮。
 関連書籍23冊、フラットファイルの資料7冊、ノート2冊、わずか2000文字程度の小論文を書くのには、少々気張りすぎかとも思ったが、ついついはまり込んでしまった。
 そして13日(土)、14日(日)と、結果はのほほんと過ごしてしまった。最終日の15日(月)になっても、スターターを回さなかった。昼ごろに友達のパセリくんが遊びに来たので、「論文が書けない」という話で盛り上がる。
 午後2時にパセリくんは自転車で隣町まで帰って行った。ワシャはというと、構成するとき用のカラーボールペン「HI‐TEC‐C」が欲しかったので、郊外にある書店兼文房具店に自動車で出掛けた。その途中で豪雨に見まわれた。パセリくんは今頃ずぶ濡れになっているに違いない。
 書店では、ペンのついでに、丸山茂徳『科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている』(宝島社新書)と、高橋克徳他『不機嫌な職場』(講談社現代新書)を買う。
 午後3時、「机に向かおうかな」とも思ったが、ついつい本を読み出してしまった。読み終わって、時計を見れば、午後5時。
「午!後!5!時!」
 いけない、何をしていたんだ。ワシャのバカバカバカ……大相撲が始まっているではあ〜りませんか。急いでテレビ桟敷に座るのであった。結びの一番であっけなく朝青龍が勝ってしまった。あ〜あ、面白くない。そろそろ論文でも書くか。そう思ったのが、午後6時だった。
 まさに背水の陣だった。ワシャの後には「白波」が待っている。A4用紙を横に4枚張りつけたものが構成表になっている。それを目の前に広げて一気にキーボードを叩いた。
 午後7時30分、原稿用紙にして6枚の小論文を脱稿する。まだまだ何度も遂行を重ねなければものにならないが、取り敢えず形にはなった。もちろん「白波」で祝杯をあげましたぞ。めでたしめでたし。