背水の缶詰

 昨日は午前3時に起きて早朝から論文の構成をしていた。その関連で何冊も本を読んだ。その中の一冊に、長谷川和廣『社長が求める課長の仕事術』(かんき出版)がある。
《伸びる会社は、経営理念の中身がどうであれ、それを社員に浸透させる仕組みを持っています。》
 そして、著者はこの浸透させる仕組みとして、ザ・リッツ・カールトンホテルの「クレドカード」を上げている。
「なんじゃ、クレドカードって?」
 ううむ……危険な疑問が涌いてしまった。急いで先を読む。
 ほお、このホテルでは経営理念をカードにして、全従業員に肌身離さず携帯させているんだね。
 しかし、クレドカードに触れているのは2行のみで、すぐに話は別の方向に展開していった。ううう、クレドカードについて知りたい。いろいろ検索をして、ようやく、高野登『サービスを超える瞬間』(かんき出版)に辿りついた。取り敢えず論文は措いておいて、どうしても読みたくなった。でも、今からネットで注文していては間に合わぬ。すぐにワシャの町の図書館検索システムにアクセスして調べると、町外れの小さな公民館の開架に一冊だけありましたぞ。次の瞬間、ワシャは流星号に跨ると、稲穂実る圃場を猛ダッシュするのだった。
 もちろん本はゲットした。しかし、運の悪いことに公民館からの帰り道に本屋があるのだ。ここは素通りできない。お蔭で午前中は潰れてしまった。論文は午後に賭けよう。

 午後じゃ。書斎のパソコンの前に座っている。ワシャの左手のテーブルは論文の資料が広げられるように整頓してある。開始のゴングさえ鳴ればいい。でもね、これが鳴らないんですね。どうしても本を手にとってしまうのである。
『サービスを超える瞬間』でクレドカードについて知識を吸収したところまではよかった。しかし、今買ってきたばかりの「一個人」10月号と「文藝春秋SPECIAL」が誘惑してくるのだった。
 それにテレビでは「たかじんのそこまで言って委員会」が追い討ちをかけてくる。今日も、勝谷さんは全開だ。お気楽サヨク加藤登紀子さんとのバトルも楽しい。

 そしてワシャは決定的なことを失念していた。今日は大相撲秋場所の初日だったのじゃ。新理事長の協会挨拶も聞きたいし、厳しく言われている立会いについて力士たちがどう変化しているのかも確認したい。
 ええい!明日(15日)に全てを賭けよう。
 ということで、早々と論文から遠ざかるワルシャワであった。めでたしめでたし。

 で、今日(15日)になってしまった。やれやれ。