危機感のなさすぎるマスコミ

 政府情報誌「Cabiネット」6月号の特集は、洞爺湖サミット直前号だけに「ストップ!地球温暖化」となっている。
「一人ひとりの努力が地球を守る」
「リサイクルやエネルギーの節約など、CO2削減に向けて、日本の企業はさまざまな努力をしています。」
「社会全体で地球温暖化防止を訴えています。」
地球温暖化や資源枯渇を防ぐために……そんな環境への配慮が込められた製品や取り組み、浸透しています。」
 どのページを開いても「エコエコエコエコ」と喧しい。
 巷では、レジ袋の削減が大流行し、主婦たちは高いエコバッグに買い換えを始めている。どのスーパーもエコバッグコーナーを設えて、派手な宣伝を展開しているが、ご立派なエコバッグを作るのには石油資源がもちろん必要だし、製作の過程でCO2も大量に発生することを忘れてはいないかにゃ?
 連日のテレビでは、石油製品を始めとした物価の高騰を嘆いている。したり顔の識者たちは、節約や省エネルギーを説くけれど、「ちょっと待った!」と言わせてもらいたい。

 夕べから、フジテレビ系列で「FNS27時間テレビ大爆笑!」が始まった。明石家さんまを総合司会に据えて、お笑い芸人や局アナで回りを固めたバカ騒ぎするだけの企画である。全国の系列局も巻き込んで、大勢の人間を動員し、セット、大道具、小道具、お揃いのTシャツ、芸人の扮装……膨大な物量を投入してひたすら騒いでいる。
 洞爺湖サミットが終了したばかりで、政府が地球温暖化まことしやかに流布している時期に、公器といわれているテレビが、枯渇を始めた資源を湯水の如く垂れ流して、こんなことをしていていいのだろうか。
 こんなバカ騒ぎを、おつむの足りない国民が見たら、
「けっこう派手にやってるじゃん。こいつらが目一杯楽しんでいるんだから、なにもオラたちばっかりが『省エネ』だとか『モッタイナイ』だとか言われて不自由な生活を強いられる必要はなかっぺ」
 と省エネ行動にブレーキが掛かってしまわないだろうか。
 一方でCO2削減を叫びギュウギュウと国民生活を締め上げているくせに、他方でドロドロと資源を浪費する、この矛盾をどう説明するんだ。福田くん。

 因みに、バカ騒ぎしている芸人の人件費も、バカ騒ぎが終われば廃棄される諸々のセットや小道具の製作費用も、みんな、スポンサーから出ているわけで、その無駄使い費用は最終的に製品に上乗せされて、消費者が負担することになる。それでいいのだろうか……