仁は不壊

 アフリカ南部ジンバブエ共和国で、大統領派が野党支持者を弾圧している。迫害を恐れた野党支持者はアメリカ大使館など外国の施設に保護を求めて詰めかけているという。
 元首はロバート・ムガベ大統領、御歳84歳の後期高齢者の独裁者である。この人、ジンバブエが独立を果たした1980年に首相に就任し7年、1987年に大統領になってから21年の長期にわたり権力を掌握し続けている。これじゃぁ独裁者になるなっていうほうが難しいわなぁ。
 同様のことは日本の地方自治体でも言える。同じ人間が長期にわたって権力の座に居座り続けると様々な問題が発生する。愛知県内の某市では首長が5期20年にわたって市政を牛耳っている。人物的に悪い人ではないのだが、清流もよどめば腐り出す。20年も市の情報を一手に握りつづけているのだ。自治体について一番良く知っているのが市長というのでは、役所の中にも、議会にも、市民にさえこの首長に異論を唱えることは難しくなってしまう。
 この組織にある特徴が出はじめている。30代から40代前半の職員がどんどん出世をしはじめた。いわゆる市長のチルドレンたちである。彼らは一様にやる気のある(やる気を見せている)優秀な職員だ。すでに30代で管理職になっているから残業手当などつかないが、皆、深夜まで仕事に没頭している。だから某市エリートに太った職員はいない。
 反面、40代後半から50代の職員で、その生き残り競争から離脱する者も多く見うけられる。中にはトップの過大な要求に精神的に崩れていく者まで出る始末だ。

 平成の大合併を経ても、3200あった自治体が1800弱になっただけである。未だに小さな自治体が全国にあふれている。なぜか、そりゃそうでしょ。小さいと言えども大統領なんだ。その地域で最高権力者であるということで言えば、ジンバブエ大統領となんら変わりはない。
 経済的なものを見たってさ、ジンバブエの2005年のGDPが1兆2200億円である。これに対して愛知県の自治体で製造品出荷額が1兆円を超えるところは11市町あり、豊田市など11兆円を誇っている。これらの市町の首長は財政基盤から言えばジンバブエ大統領を凌駕しているのだ。だから長期にわたって権力の座に居座るのはよくない。3期12年くらいで次の人にバトンタッチしていくのがよろしい。

 それはそうと、ワシャの尊敬する人が緊急入院したという。大事に至らなければいいのだが……とても心配だ。東海の空からご回復を祈っておりますぞ。