環境は複雑だ

 宇宙物理学者の池内了さんが『擬似科学入門』(岩波新書)の中でこう言っている。
《人間を除けば地球は複雑系の最たるものである。そのため未知の部分が多くあり、一つの要素がプラスにもマイナスにも働くことがあって、単純に結論を下せないことが多い。そのため、地球環境問題は人間の未来を左右する深刻な問題だと捉える論調が強い一方、でっちあげに過ぎないとか、環境学者が予算を獲得するために大げさに言い立てている、と言う学者もいる。こうなると、地球環境問題を言い立てているのが疑似科学なのか、それを否定して問題はないと主張するのが疑似科学なのか、わからなくなってしまう。いずれも「科学的」であることを標榜しているから判断が難しいのである。》
《ある一つの側面を取り出せばプラスだが、別の面から見ればマイナスにはたらく、ということが多い。だから、一つの面だけを過大評価して誉めあげたり、別の面から全く害悪そのものと断定してしまうのも正しくない。どちらかだけを一面的に断定してしまうと擬似科学に陥る危険性があることを強調しておきたい。》
 昨日の続きになるのだが、大衆にむかって高説を述べようとする者は、上記のことくらいは踏まえておくべきだろう。昨日の講師も池内さんの著書などを読んで再学習したほうがいい。武田教授を全否定してしまうような浅はかさ、知恵の足りなさを露呈してしまう環境原理主義者が多いので、地球温暖化論がどうにも胡散臭く見えてしまうところは否めない。
 まず、こういった連中の排除から始めなければ真の環境施策というものが日の目を見ないのではないだろうか。