昨日、田中康夫さんの言に触れた。その中に御用学者という言葉がでてきたが、こいつらの存在がもたらす弊害は計り知れない。例えば環境分野である。御用環境学者の跋扈がどれほど日本の国益を冒しているだろうか。一昨日、発売された「文藝春秋5月号」に櫻井よしこさんと地球物理学の権威である赤祖父俊一氏の対談が載っている。この対談の中で赤祖父氏は冷静に地球温暖化論の矛盾点を指摘している。
《一月末に発表された最新のPDO(太平洋における50年毎の変動)に関する情報は、太平洋の中央部がすっかり冷えこんでいることを示しています。》
《太平洋の中央部だけでなく、すべての海洋の水温が下がっています。》
《(CO2排出権)取引で、買う側に立つのは、およそ世界で一カ国、日本だけです。そのような形で日本が富を失う間に、米国も欧州も、中国もロシアも、潤っていくというわけです。》
20世紀の終わりから10年、地球の温暖化は停まっている。アメリカや中国がガンガンCO2を排出しているにも関わらずだ。これに対して、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は明確な説明をしていない。
ワシャは昨年の4月に環境のプロジェクトチームに異動した。以来、環境関連本を少なく見積もっても5mほど読んだ。「地球温暖化論」も「地球温暖化懐疑論」もどちらにも偏らず手当たり次第にである。そしてある傾向がわかった。「地球温暖化論者」の発言はヒステリックで根拠が甘い。何かといえば「IPCCがそう言っているから正しいのだ」と決めつける。そして本のタイトルがおどろおどろしいのだ。
『死に向かう地球』
『地球破壊 七つの現場から』
『追いつめられた地球』
『地球はあと10年で終わる』
『地球温暖化/人類滅亡のシナリオは回避できるか』などなど。
ね、凄いタイトルでしょ。
だいたいこの手のオカルト本は、著者が環境ジャーナリストや環境NPOなどが多いのも特徴だ。ほらほら、地球温暖化論のバイブルとも言える『不都合な真実』だって科学者ではなく、政治家が書いているでしょ。
ところが、地球温暖化に対して懐疑的な論を張るのは科学者が多い。赤祖父氏もそうだし、石井吉徳、養老孟司、松井孝典(東京大学)、丸山茂徳(東京工業大学)、藤倉良(法政大学)、池内了、池田清彦(早稲田大学)、富山和子(立正大学)などである。
この人たちの著書は科学的根拠をきっちりと示してあってわかり易く冷静だ。少なくとも書籍に関する限り「懐疑論」に軍配を上げざるを得ない。このことを環境官僚どもはどう見るんだろう。