先週、地元の中学校に関わる集まりがあって、そこで何人かの懐かしい人にあった。PTAの役員に中学校時代の2年後輩のMという人がいて、今は塾経営しているとのこと。M君も酒仙のようで「また呑みましょう」ということになって、先日その約束を果たした。
洋風居酒屋のボックス席で取り止めもない話をしながらビールを重ねていると、M君が唐突に微笑する。「どうしたの」と尋ねると、「ちょっと思い出したことがありましてね」と前置きをして以下のような話をした。
「僕は新中学生になって級長に任命されたんですよ。だからクラスの代表として度々生徒会に出席しました。当時、K中学は市内でも有数のマンモス校でしたよね。全学年で30クラス以上ありました。その代表が一堂に会して学校に関する諸々のことを喧喧諤諤話し合っていた。小学生に毛が生えたばかりの僕にはカルチャーショックでしたね」
「何度目かの生徒会の前に担任の先生から『今度の生徒会では体育大会の議題が出される。その中でK中伝統の仮装行列の話題が出るが、この準備が面倒くさい。だから仮装行列実施の採決の時は反対票を投じて否決してくれ』と言われました。僕らは何も知らないし、先生の言うことは絶対だと思っていましたから、次の生徒会の時、先生の言うとおり反対に手を挙げました。後で考えれば、余分なことをやりたくない教師たちの手が回っていたようですね。大多数の級長が反対して仮装行列は否決されました」
「否決が決まり、指導部の女性教諭が立ち上がって生徒会の終了を宣言しようとしたその時、執行部の3年生が立ち上がって『待てよ!』と叫んだのでした」
そんなこと言ったかなぁ?
「体育大会での仮装行列を提案した生徒会長でした。彼は、『K中の伝統行事である仮装行列を面倒くさいからという理由で俺たちの代で終わらせていいのか』というようなことを主張していました」
そうそう、事前の打ち合わせでも顧問の教諭たちは「準備が大変だから今年から中止にしよう」と言っていたのを、会長の一存で強引に開催する方向で議題に上げていたんだった。段々思い出してきたぞ。ここからは再現ドラマでお読みいただこう。
(下へ続きます)