変人 その2

(上から読んでね)
 でもね、あの頃ワシャも若かった。そんなことは百も承知なのだが、派閥に与せず、歯に衣をきせず、部下を人間としてきちんと扱ってくれるH課長のことを批判して、権力欲に取り憑かれたオジさんに取りいろうとは思わなかった。だから部長の前で弁舌爽やかにH課長のことを褒め称えた(ちょっと過剰に)。
 いやーぁ、部長の顔が見る見る赤くなりましたぞ。周囲の課長がその変化に過敏に反応した。
「この男(ワシャのことですな)は、まだ配属になったばかりでHのことをよく知らないんですよ」
 と、ワシャの代わりに弁解してくれる。余計なお世話だが。
「いえ、入社のときからカッコイイ課長がいるなぁと注目していました。同じ課になって益々その思いが強くなりました」
 言わなくてもよかったのだが、天邪鬼なんですな(笑)。すぐに腰巾着どもに抱えられワシャは御前から引きずり下ろされた。そして、コンコンと上司や先輩に説教されたのだった。もちろんワシャの口に猿轡がかまされていたわけではないので、敵の倍の大声で3倍反論しましたがね。あーすっきりした。
 お蔭で次から声が掛からなくなったのじゃった。めでたしめでたし。
 ワシャって変ですか?