床屋にトコトコ行ってきたとこや

 週末の仕事の疲れがどっと出て、爆睡かと思いきや、やっぱり午前5時ごろには目が覚めてしもうたわい。顔を洗いにバスルームに行くと、あっと驚くためご〜ろ〜お〜。頭が爆発して「金門五山桐(きんもんごさんのきり)」の石川五右衛門のようになっている。あわてて近所の理容室に電話を入れて予約を取りましたがな。

 約束の時間に店に行く。今日は混んでいた。3つある椅子が満席だ。ワシャが一番奥の席で、となりは50歳くらいのオジさんが薄い頭髪を撫でつけてもらっていた。入口の席には60歳くらいのやや白髪の多いオジさんである。
 ワシャは基本的に床屋ではほとんど口を開かない。
床屋さん「どうしますか」
ワシャ「あ、いつも通りでお願いします」
 最初にそれだけを言う。それで床屋さんはワシャの髪にウエーブをつけ、少しカットして、その後で梳いてもらう。パーマなので時間がかかる。だからずっと本を読んでいる。今日は曇り空だったので、村上春樹『夜のくもざる』(平凡社)を持参し、バーバーチェアでくつろいで読む。(なんのこっちゃ?)
 となりの薄毛のオジさんはマスターとパチンコの話をしている。その向こうの初老の客はマスターの奥さんと、孫をディズニーランドに連れていった話をしている。鏡の脇に埋め込まれたテレビではミズノクラッシク女子ゴルフの中継をやっている。パチンコもディズニーランドもゴルフも嫌いなワシャはひたすら村上春樹に没頭する。つい面白かったので声を立てて笑ったら、鏡越しにオジさんたちにジロリと睨まれてしまった。チェアが倒されたので、本をたたんで目を閉じたら、やっぱり睡眠不足だったんですな。すやすやと寝てしまったようだ。

ワルシャワさん」と呼ばれたので目を開くと、すっかり頭はできあがっているではあ〜りませんか。あー、さっぱりした。めでたしめでたし。