ワシャはレファレンス本(参考図書)を集めるのが好きじゃ。素人にしてはレファレンス本の所蔵は多いほうだと思う。だから書庫(物置ともいう)には有象無象の辞書、事典、年鑑、便覧、図録、ハンドブック、白書などが犇いている。
その中には結構面白いモノもある。
『英語擬音語辞典』(研究社)
この本はリーダーズ英和辞典の編集部が編んだもので、英語の擬音が網羅してある。パソコンのキーボードを打つ音は「taptaptaptaptap」で、赤ちゃんがおっぱいを吸う音は「tsucktsuck」だ。象が歩くと「STOMPSTOMP」で、ペンギンが歩くと「flipflap」なのじゃ。
もちろん日本語の同種のレファ本もある。
『擬音語・擬態語辞典』(角川書店)
「はらはら」と落ちるのは枯葉で、「ばらばら」降るのは大粒の雹だ。「ぱらぱら」めくれるのは読みかけの本のページである。
『比喩表現辞典』(角川書店)
この本も暇な時に手にとって眺めていると面白い表現を見つけることがある。「心臓」の比喩のところではこんな例が載っている。
《心がすっかり萎えていることを感じる。まるで、心臓が、箸の先でつまみ上げられた味噌汁の中のワカメの束のようだ。》
《自分の心臓が太陽に向って開く花弁のように、奈々子に向って大きく開いているのを感じた。》
どちらも吉行淳之介の文章である。
こんなのもある。
『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫)
これはワシャの人格が疑われるといけないので引用はしない。でも、面白いですぞ。
この他にも、古今の作品から厳選した『口説きの言葉辞典』(角川文庫)や『別れの言葉辞典』(角川文庫)などがある。しかし残念ながら使ったことがなかったのだった。