哀れな死

 三重県伊勢市の課長(47)が運動中に死んだ。それだけなら大したニュースでもないのだが、その原因が伊勢市長のパフォーマンスにあるということなので、見過ごすわけにはいかぬ。
 森下市長は、上司は思い付きでモノを言う、ではないけれど、市民向けのパフォーマンスを打ち出した。自身と6人のデブ幹部職員に「3ヵ月間の減量」を命じた。減量の成果が出ない場合、ペナルティもあるということなので、市長から名指しされた職員は必死だろう。そして本当に必死となってしまった。
 森下市長は「死んだ職員は、まじめな性格で、仕事もコツコツする方だっただけに、つらい」と話しているそうだ。
 何をとぼけたことを言っているのか。元々、小さな地方自治体の職員なんてまじめしか取り柄のない人種なんだ(中には違うのもいるけどね)。そいつらが自治体最高権力者から「一緒に減量しようね」と言われたということは、「死んでも減量しろ。できなければ出世コースから外すぞ」と同義なのだ。小さなコミュニティの中で少しでも上昇することを唯一の人生目標にしてきた小役人にとって、そのことがどれほど重いのかということを、政治大好きな市長さんには想像できなかったのだろう。だったら軽率に部下に仕事以外のことを強いるんじゃない。自分一人で絶食していろ。

 伊勢市長といえば、2006年2月に森下さんの前任の加藤市長が鬱病で自殺している。現職市長が死んだり、職員が市長命令で頓死したり……何かあるのか?伊勢市には。