風雲急を告げる愛知

 昨日の中日新聞。愛知県のなまぐさい話題が満載だった。ひとつは《「2019あいち知事選」大村流を問う》という連載が始まった。ううむ、全体のトーンとしては批判的かなぁ。思いついたことをすぐに行動に移すのが大村流としながらも、実現しなかった事業もあると記事は言う。「知事ほどのアイディアマンは庁内にいない」と舌を巻いた県幹部いたそうだが、そんなものお追従でしかなく、あるいは堅実な公務員が放った皮肉かもしれない。思い付きを口にすることはさほど難しいことではないし、未実施のものも多いようだから、頭に閃いたことを部下に押しつけているだけとも言える。
 要は、思い付きをある程度は吟味して、それを自身の中で組み上げてみて、自己満足ではないか、県民のためになるのかどうかを見極める必要がある。

 尾張旭市長が市議会に退職届を出した。市の職員に手を出したというから、終わっている。身ぎれいであることが自治体のトップに求められる最初の一事だと思う。その点、大村知事は間違いなく大丈夫だ(笑)。

 西尾市のPFI(民間資金活用による社会資本整備)が揺れている。PFIを進めていた高齢の前市長が、PFIに反対する若い現市長に敗れたことにより混迷を深めている。前市長が3期目に立候補したのが77歳、任期中に80歳を超えることになる。いくら地方自治といってもそれは少し高齢過ぎやしないか。変な色気を出さずに、優秀な後継にバトンタッチをしておけば、もう少しスムーズに事は運んだろう。

 西尾市の北側の安城市である。西三河版の半面を使って《激突!安城市長選》という記事が掲載された。ここでもキーワードは「後継」だな。
 現市長が5選目に出馬表明した。その理由が「後継者がいない」というものである。それはないだろう。安城市、じきに19万都市になろうという自治体である。その関係者の中に市長候補がいないというのは詭弁だ。「後継者がいない」のではなく「後継者の芽を摘んできた」のではないか。記事を引く。
安城出身の官僚や県職員、市職員、市議らの名前が次々に挙がったものの、時間が限られた中での後継者選びは難航した。》
 そもそも、任期には期限があって、それが必ず訪れるのはバカでも分かる。一旦は退く意向を示し、市議会の最大会派に人選を委ねたということが書いてあるが、それは、思い違いである。《四期十六年で思い描いていたものは形になり、未来の市政へのレールを敷いた》というなら、市民の乗った客車を牽引する機関車を付けなければレールはただの鉄の棒なのだ。
 2年前くらいから、2人いた副市長を市外居住者の1人にした。市議会からは、市長の後継者をつくっておくという意味もあって、2人目選任の質問が何回も出た。しかし、これも頑なに「人がいない」と退けつづけた。その結果が、「市長の後継者がいない」という現実になる。
 後継となりうる副市長は置かない。官僚、県職員には断られ、市職員ではお気に召さない。それはそれでいいけれど、官僚よりも格上の国会議員が名乗りを挙げたのである。ここは対立構造を回避するためにも、言ってきたことの整合性を図るためにも保守系を一本化するべきではないのかにゃ。