宮澤一族

 宮澤喜一さんは三人兄弟だ。長男が喜一、次男が弘、三男が泰である。この三人、そろって秀才で、喜一は東大法学部卒業で大蔵省、政界、最終的には首相まで上り詰める。弘は東大卒業後、内務省に入る。その後は千葉県副知事となって東京湾大規模埋め立てに辣腕をふるった。自治省事務次官を経て広島県知事に転じ、その後、参議院議員となり村山内閣で法務大臣。泰も東大法学部卒業後、外務省で活躍をしている。これまた優秀だ。
 しかし、偉かったのは三兄弟の父、裕である。貧しい農家に生まれたが苦学を重ねて東京帝国大学を卒業し、内務省、山下汽船を経て、最終的には政治家に転進し、鉄道政務次官になった。池田勇人の盟友で、このため喜一も池田のために尽くすことになる。喜一の父が、広島の辺土から身を興さねば、首相、県知事、外交官を擁する華々しい一族は存在しなかった。
 ただ宮澤喜一さんは東大卒をひけらかすところがあったという。そのあたりが成り上がり貴族二代目の悲しさでもあり、人間臭さでもある。
 スターウォーズヨーダ似の宮澤さんは星に帰った。