能登半島地震の問題点

 内閣府から「防災」という広報誌が出ている。平成19年5月号の表紙は、輪島市門前町道下集落の倒壊家屋を視察する安倍首相の写真だ。表紙をめくれば、ここにも政府調査団の被災地視察の写真が載っている。溝手防災大臣、平沢内閣府副大臣の顔も見える。
 また、北国新聞社から『能登半島地震』という写真集が発刊された。この中にも被災地を訪問する政府関係者が写っている。吉田六左衛門政務官、冬柴国土交通大臣瓦力衆議院議員北村茂男衆議院議員馳浩衆議院議員岡田直樹参議院議員、沓掛哲夫前防災担当大臣、森喜朗元首相と、お歴々が次から次へと混乱する輪島市に襲来した。3月25日、26日、27日、30日、4月1日、2日、13日・・・・・・迷惑な話だ。これを地元の自治体関係者は「二次災害」と呼んでいる。
 現地は、大地震以降、猫の手も借りたい状況で、住民の安全確保のため職員は不眠不休で奔走している。ここに大挙して中央から大官が「被災地視察」と称して物見遊山にやってくるからたまらない。来るなら来るで、黙って訪問し、被災地の状況をこっそりと確認し、ひっそりと帰ればいいのだが、仰々しい対応を地元自治体に求めるから、輪島市は市をあげて先生様のおもてなしをすることになる。
 4月上旬に、ワシャも現地入りした。もちろん一切地元の自治体に迷惑をかけることのない自己完結型調査に徹底しましたぞ。その時にインタビューした地元の自治体関係者はため息混じりに「先生たちの視察は本当に迷惑です」とつぶやいていた。ご愁傷様です。
 災害現場に入るときは、ボランティアにしろ、災害視察を敢行するにしろ、被災地の人に迷惑をかけずに自分でなんとかするというのが絶対条件である。その意識が大官どもには完璧に欠落していた。
 もともと政治家になろうなんていう輩は野次馬根性の塊である。被災現場を見たくてしかたがない。その貧困な好奇心を満足させるために、本来は住民の安全確保を最優先で取り組むべき職員を何人も割かなければならなくなる。何かおかしくないかい?