叱られた

 昨日、ワシャ家に小さな祝い事があった。だから久しぶりに老親と一緒に酒を飲んでいたのじゃ。
「めでたき哉」
「善哉善哉」
「うむ、ひとまずよかった」
 と、最初は和やかにめでたいことを言祝いでいたのだが、ワシャ父とワシャ母の酒を飲むペースが上がってきたな、と思っていたら、
「ところでワシャ蔵、ちょっと気になっておったんじゃが」
 と、ワシャ父が切り出した。
「なんでござる、父上」
「お前のヘアスタイルのことじゃ」
「拙者の髪形でござるか」
「そうじゃ、このところ遠くから見ておったが、そのヘアスタイルは顕かにおかしいぞよ」
「ゲゲゲ、そんなにおかしいでござるか」
「私もそう思っておりました」
 と、ワシャ母も言い出す始末だ。
「ゲゲゲ」
http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=427365&log=20070213
 2月13日の日記にも書いたが、今、ワシャの髪形は、チリチリパーマのやしきたかじんのようになっている。これを老親が咎めているのだ。それにしても十年(とうねん)とって38歳(笑)にもなって親から髪かたちで叱られるとは思わなかったわい。
 若かりし頃のことである。当時「本所の鬼」とか「入江町の銕さん」と言われて、深川あたりの悪所ブイブイ言わせていたワシャだったが(笑)、その頃のヘアスタイルを思い出したんでしょう。老親は「ワシャ蔵がまたぐれるのでは」と懸念したわけです。幾つになっても親というものは子どものことが心配なんですな。ありがたいようなありがたくないような。
「これには少々事情がございまして……」
 と、弁解をしようにも、80になろうという頑固なワシャ父は聞く耳を持たない。
「ええい、武士のクセに言い訳とは情けない。手打ちにしてくれる。そこに直れ!」って、ワシャ、武士ではないし、手打ちにもなりたくない。
 ワシャは平謝りに謝って、次から、やしきたかじんは止めて大泉洋にすることで許してもらい、ワシャ父自慢の手打ち蕎麦をご馳走になったのだった。めでたしめでたし。