坊主丸儲け

 通夜に若い坊主がきた。日産ムラーノ350XVというどでかい車で門の前に乗り付けて、10分ほど読経するとさっさと帰って行った。
 葬式には2人の坊主と尼が1人やってきて、20分ほど木魚を叩いたかと思ったら、「導師ご退席」となって坊主部屋に下がる。何が気に入らないのか、そこで接待をしていたおばさんに文句をたらたら垂らしまくるとお非時(食事)を持ってさっさと寺に戻って行く。
 骨上げが済んで、夕方、親戚のいる間に初七日までやってしまおうということで、また坊主がやってきて経を唱える。
 都合3回、延べ5人、時間にして1時間にも満たない。これで戒名がおまけでついて、金50万円なり……坊主、儲かりまんなぁ。

 ワシャは葬式仏教が嫌いだ。だいたい『正法眼蔵』一つ解釈できぬ生臭坊主に引導を渡してもらったって極楽になぞ逝けるものか。戒名だって文字数で金額が決まっている。これで極楽での地位の上下が決まるっていうんだからかないまへんで。死んでまで格差社会かい!
戒名のお値段、10文字以上で200万円、8〜9文字100万円、6〜7文字で40万円な〜り。
 ワシャはこんな金にしばられた戒名なんていらないのじゃ。「院」も「居士」も「信士」もいらない。(財)全日本仏教会だって次のような決議をしている。
「仏教本来からの考え方からすれば、僧侶・寺院が受ける金品はすべてお布施(財施)である。従って、戒名(法名)は売買の対象ではない」
 あくまでもお布施は、感謝の気持ちである。だから出せるだけでいいわけで、なんで相場が立つのか。仏に仕える坊主がとやかく言うとは何事だ。

 ワシャは葬式も嫌いだ。普段付き合いのない親戚や、ここぞとばかりに駆けつけた野次馬知人に、何が悲しくて己の死に顔を晒さなければいけないんだ。ワシャは絶対に死に顔を家族以外に見られたくない。だからワシャの葬式は二親等までの範囲でひっそりと行うのじゃ。もちろん生臭坊主の読経などいらぬ。そんなものでは絶対に極楽へなど行けない。ワシャは勝手に地獄極楽三途の川下りで楽しむわい。めでたしめでたし。