稀姓の人

 NHKのいかにも堅そうなアナウンサーが糞真面目な表情で「そのまんま東さんが……」と言うところが面白かった。
 そのまんま東、本名東国原(ひがしこくばる)英夫、昭和32年9月16日宮崎県生まれ。それにしても「東国原」というのは稀姓だね。手元にある『日本の苗字ベスト30000』(新人物往来社)にも載っていなかったし、『日本「姓氏由来」総覧』(新人物往来社)、『日本の苗字読み解き事典』(柏書房)にもない。辛うじて「国原(こくばる)」という姓が『日本の苗字ベスト30000』の7314位に掲載されている。二谷、明智、海部、伊地知などと並ぶ。この辺りでもけっこう珍しい苗字だと思うが、これに東がつくと一気に稀少な苗字になる。ワシャの持っている書籍では追跡が出来ない。地名から追ってみようとも思ったのだが、『コンサイス日本地名事典』には載ってないし、百科事典をあたったが見当たらなかった。『角川日本地名大辞典』も兵庫県や埼玉県までで、さすがに宮崎県までは持っていない。悔しいので買おうかと思っている。
 そんなことはどうでもいいのじゃ。問題は宮崎県なのだ。県内の守旧派は、山梨県愛媛県と同様に官僚から天下りさせてお飾り御輿に据えようとしたが県民に「NO」を突き付けられてしまった。そりゃそうだよ。東国原氏に対抗した官僚二人をご覧なさいな。冴えない顔をしているじゃありませんか。
 山梨や愛媛の知事だってそうだ。元官僚の両知事も大した顔をしておりませんぞ。二人とも東大卒で建設省、文部省で活躍をしておられた。その結果が、いまの混乱でしょう。キャリア官僚といったって大した仕事などしてはいないんですよ。とくに現場とは乖離しているから靴底を通してずっと足の裏を掻いてきただけなんで、そんなのが地方自治体のトップになったって何ほどのことができるものですか。せいぜい利権談合連に担がれるのが関の山だろう。
 それに引き換えそのまんま東さんの街頭演説には熱があった。気概があった。宮崎県を良くしようという思いがあった。くそ議会や利権談合連の邪魔がなければいい政治家になるだろう。遠い愛知の空からちょこっと応援をしようと思うのだった。