軍閥化 その2

(上から読んでね)
「その代わり、全消防署所を統括する消防局が新たに設置され消防署の上に位置付けられているではないか」と消防関係者は嘯くだろう。
うん、見た目はそうだね。ところが、消防職の大半は出先の署所に詰めて、署長の管轄下に置かれている。そしてその職員の人事権を握るのが署長であり、実際に職員を管理監督していない局のお偉方は署長の判断を追認するしかないのである。
 新選組を見るがいい。最高権力者として新選組を動かしていたのは、人事権と部隊指揮権を掌握した副長の土方歳三だった。祭り上げられてしまった近藤局長でも山南総長でもない、その下位に甘んじたふりをしている土方が一番頭が良かったのだ。
 それと同じことが、この消防局で起こっていると見ていい。消防局に祭り上げられてしまった連中は、その実権を失い、反対に出先の施設長が実質的な権力者に化けた。その証拠に各署長たちは局への上がりを嫌っていることからも明白であるし、もっと具体的な事例では、今年度からは各署の署長室が急造され、署長様はみんな個室に納まってしまったというではないか。市長でもあるまいに。 組織は新選組のように単純になった。施設長でしかなかった職責が軍団長になったのだ。長の意思は末端まで浸透するようになった。だって署長に逆らったら大変だ。なにせ人事権を持っているんだから、どんな冷遇を受けるか判ったものじゃない。だから消防関係者の口からは「風通しが悪くなった」という愚痴が聞かれるようになった。
 この組織の作りかたは間違いなく失敗だった。住民からの乖離行動を起こすような行政組織は間違いなく時代に逆行していると断言していい。それに特定の役職に権限を集中させるのも間違っている。長がバカだとは言わないが、組織はなるべく多数の合議にしなければ総身に知恵は回りかねるのだ。人間一人の持っている知識など高が知れているからね。地域に戻れ、消防士。