消防大合併 その2

(上から読んでね)
 例を挙げよう。
 西三河南部で大地震が発生した。情報が混乱、途絶する中で、消防局に被害の第一報が入電される。「海浜部のコンビナートで地震による火災発生」というものである。コンビナート火災である。大惨事になる可能性は高い。それに現在の衣浦東部広域連合のトップは海浜部の首長だ。この状況で連合長だって自分の選挙区に「向かえ」と言うに決まっている。消防局は直ちに全域の消防署に第3次出動を発令し、管内の消防力を海浜部に集中するだろう。
 その後に内陸部の市から、「旧市街地で阪神・淡路大震災の時のような住宅地火災が起きている」という通報が入っても、内陸市の消防車両はみんな海に向かって走っていますわな。内陸の住宅地は燃えっぱなしになる。
 従来の単独消防であれば、市災害対策本部の中に消防長が参加していた。だから市長の判断はそのまま消防力に伝わって、消火活動をすることができた。しかし、広域化を図ると、災害対策本部に参加するのはせいぜい各署の副署長どまりであり、署に残っている署長にしても、消防局の命令に反して現場で判断することを許されていない。
「事件は現場で起きている」のだ。
 組織を大きくすればするほど、消防力は現場から離れ、地域住民は取り残されるのである。
 新潟県中越地震新潟県庁が、能登半島地震で石川県庁が災害発生直後に機能しなかったことは記憶に新しい。住民の生命、財産を本当に守るつもりがあるなら、広域で通信部門を整備し、相互に応援をし合える態勢を作っていくことこそが肝要である。
 消防庁の進めている「消防広域化」、群馬県の提言している「県内一本化」も愚の骨頂だ。実際に起きている弊害の調査もせずに「デメリットは思い浮かばない」などとどの口で言っているのか、まさに噴飯ものである。
 もう一度言う。災害に対して、組織は細かければ細かいほどその力を発揮する。

 消防庁群馬県の馬鹿さ加減に怒りのあまり書きなぐってしまった。この問題については、もう少し冷静になって考えたい。