東京へはもう何度も行きましたね

 いやー、今日、私用で上京しておったのじゃ。東京での数時間はたいへん楽しかった。何が楽しかったって?う〜む、それは言えない。言いたいんだけれど言えません。
「王様の耳はロバのみみー!」

 核心は話せないが、こんなことがあった。
 東京駅午後6時30分、帰りの新幹線で弁当でも使おうかと思って、駅弁を買いに中央通路にあるお弁当屋に行く。ここで「夕刊フジ特選おつまみ弁当1000円」を2つとエビスの缶ビール2本を買った。
「合計で2500円でごじゃ〜ま〜す」
 と売り子のおねえさんが言うので、ワシャは財布から1万円札をピシッとおねえさんの面前に出した。おねえさんは笑顔でその1万円札を受け取ろうとしたのだが、突然、ワシャとおねえさんの間に体格のいいおばさんが割り込んできたのである。不当な割り込みなら許しませんぞ、と身構えたが、割り込みおばさん、弁当を買うのではなさそうだ。
「わたわたわた私は、さっき、ここで弁当を買ったんだけれど、おおおおお釣が足りないのよ、1万円、払ったのよ、間違いないわ。それなのにお釣が2千円しかないの、どうしてくれるのよ」
 おっとこれは面白い展開となってきた。野次馬のワシャはこの結末を見極めたかったが、新幹線の発車時刻が迫っている。ワシャは隣のレジで清算をして、きちんとお釣があるかを確認し、新幹線の改札に向かったのだった。めでたしめでたし。