タバコを吸わないので酒

 ワシャは就職して以来、会社の中でおもいきりわがままにやってきた。上司には逆らうし、先輩にはくってかかる社員なのだ。よく言えば「馴致されざる社員」、悪く言えば「問題社員」だった。
 だからペーペーの時は枠にはまらず自由に仕事をしてきたが、それは「タガがはまっていない」ということと同義語で、どーしようもない社員ということなのね。
 この「タガはずれ」の状態にもかかわらず、この4月から「管理職」という太いタガがはめられようとしているからたまらない。これに抵抗するには強いストレスを覚悟しなければならないし、またはめられるのにもストレスを強いられるのである。
 だからタバコを吸わないワシャは酒を飲むしかにゃい。選択肢は「精神衛生をとるか肝硬変のリスクをとるか」ということなのだ。
『考える技術・書く技術』の著者板坂元さんやジャーナリストの日垣隆さんは「脳細胞を破壊する酒など飲まないほうがいい」と言われて、ワシャも「そうだそうだ」と思って、出来るだけひかえようと思ってはいるのだが、どうにも日々のストレスにがんじがらめに固められると、それを解きほぐすためにアルコールという化学物質が欲しくなってしまうのですな。
 と、言い訳をしつつ、今日も今日とて赤提灯のぶら下がった夜の巷に消えて行くのであった。めでたしめでたし。