「世の中に 蚊ほどうるさきものはなし ぶんぶといふて 夜もねられず」
 江戸は寛政期、老中松平定信が幕府財政を立て直すために改革を断行する。この改革は表面的な金融引締め政策に過ぎなかったので、根本的な解決にはならずやがて頓挫してしまった。
 冒頭の狂歌は「文武文武」と声高に叫んで改革を進めた定信を揶揄したものである。

 そんなことはどうでもいい。問題はワシャの寝室に紛れこんだ1匹の蚊である。4月も上旬だというのに、ブンブブンブとうるさく飛びまわりやがって。おまけに耳たぶと右手を刺しおった。
 許さん!電気をつけて蚊のやつを探しまくった。が、蚊は見つからない。お蔭ですっかり目が覚めちまったわい。夜明けには程遠いが読書でもするとしよう。

 今は、NM法(アイデアを創出するための発想技法)を創始した中山正和の本を固め読みしている。『管理職のためのなまけ禅』(法蔵館)はなかなか面白かった。手抜き坐禅で悟りをひらく方法などが載っている。ワシャのように道に迷っている人にはお薦め。
 朝の静寂の中、読書に勤しんでいたら、例の蚊、寝室から書斎までついてきおった。ここでもブンブブンブとうるさいので大騒ぎをして追いまわしたが仕留められない。結局、読書どころではなかったわい。