鈴木輝一郎語録 その1

鈴木「プロットやストーリーを作るのにはスランプに陥ることがある。しかし文章を書くということにスランプはない。毎日書け、3日書かないと文章力を元に戻すのが大変だ」
 シナリオライター倉本聰がその著書の中で書いている。
「ライターはどう自分を奮い立たせ、机に座らせるかが勝負だ。そして何かを書いちゃうことだね。日記でも何でもいい。なるべくセリフを使って、書く習慣を身につける。一日ペラ10枚分は絶対書くこと」

鈴木「広範囲の知識を持て」
 コラムニストの勝谷誠彦が言っている。
「思考のバックボーンとして教養の海を持っているかどうかが重要だ」

鈴木「推敲すること。原稿を書くというのは最後の最後、全体の10%に満たない作業なのだ」
 先生の言われる推敲の大切さについては、林望日本語の磨きかた』(PHP新書)にあった。
《だから一つのエッセイを書くのに、私は、多いときは大体五回ぐらいプリントアウトする。で、さらに出版社に送る前に一晩くらい置いておくのが普通です。締め切りの前の日に書いて、翌日、目が覚めたらもう一度プリントアウトしたやつを見て、よくよく自己批判を加えるわけです。書いたときから少し時間がたつと、いわば熱が冷めた状態で見られるから、より鋭く自己批判ができる。そうやって後から読んでも恥ずかしくない文章にして、やっと公けにする、とそのくらい丁寧に推敲するんです。》
 かの司馬遼太郎にしても、推敲に推敲を重ねている。残された色鮮やかな原稿を見れば理解できよう。言うまでもなくスタートすら切っていない素人が推敲を怠るというのは言語道断と言っていい。肝に銘じなければいけないな。
(「鈴木輝一郎語録 その2」に続く)