テレビでチャールズ・ロバート・ジェンキンス『告白』(角川書店1200円)が発売されたことを知った。仕事が終わって駅前の2軒の書店に行ったのだが残念ながらなかった。それでもどうしても読みたかったので家に戻って車に乗り換えて、郊外の大型書店に行く。
むむむ・・・残念ながらその店にも『告白』は無かった。北朝鮮関連本が並んでいる平積みスペースに空間があったので、あそこに『告白』が積んであったのだろうか。仕方がないので店内をうろうろしていて、結局、本を買ってしまった。因みに森安彦『古文書を読もう』(講談社選書メチエ)、宮城谷昌光『古城の風景2』(新潮社)、内田樹・春日武彦『健全な肉体に狂気は宿る』(角川新書)の3冊である。
しょんぼりと田圃の真ん中にある静かな書店を後にした。暗い農道を車で走っていると、名案が「!」と閃いた。県道沿いの書店を覗いてみよう、ということになった。ワシャは鼻唄を歌いながら車を走らせた。
ううむ、21時を回っているのに県道沿いの書店は混んでいた。レンタルビデオ屋やゲームセンターが併設してあるので深夜族であふれている。世の中には暇人が多いねぇ(ワシャもだった・・・)。
そそくさと店内を見まわしたが『告白』は見当たらない。残念!手ぶらで店を出るのも卦体糞が悪いので、高橋伸夫『虚妄の成果主義』(日経BP)を購入する。レジに並んでいてひょいと脇の棚に目をやると、お元気そうなジェンキンスさんがワシャを見ているではないか。こんなところにいたんですね。
読み終わったのは24時08分だった。なかなか面白かった。ジェンキンスさん、北朝鮮で十数本の映画に出演されている俳優であるわけだが、最高の演技はインドネシアでの家族再会前の演技だったに違いない。
《私は幹部たちに調子を合わせているしかなかった。彼らには、私がインドネシアでひとみを全力で説得し、北朝鮮に帰還させるつもりでいると思い込ませておかなければならなかった。》
名演技は功を奏して、一家は日本に帰国することができたわけである。この一連の事件をワシャたちはマスコミ、報道を通じてしか知らない。だからどうしても見方が一面的にならざるをえない。しかしこの本を読めばカメラの反対側からの視点でもこの事件を垣間見ることができますぞ。おためしあれ。