出会い(2)

 さて「尻啖え孫市」は買わなかったが、その時に実は文庫を一冊購入していた。同じ角川文庫の棚にあったカバーがない「真田軍記(井上靖)」である。これは薄くて簡単に読めそうだとでも思ったのだろう。その本は未だにワシャの手元にある。値段は120円がついている。時代をかんじますなぁ。
 あああっ!えらいことに気がついてしまった。なんとワシャは、司馬遼太郎にはじめて会ったあの少年の日以来35年間この本を開いていなかったのだ。結局、あの日に買った本を読まなかったんだな・・・もし、「尻啖え孫市」を買っていたとしても、その時に読破したかどうか自信がない。
 つまり何が言いたいかというと、本というものは手に取ったり、あるいは購入したりしても読み手が熟成しない限り出会うことは叶わないのだ、ということなんですね。
 思い立ったら吉日、たった今から「真田軍記」を読もうっと。