談合とテレビ(1)

 日曜日、テレビ朝日サンデープロジェクトで「もう談合はしない・・・56歳孤独な闘いの記録」というドラマが放映された。おっと、ドラマじゃなかったっけ。地元の安城市で起きた事件だけに興味がありテレビ桟敷の前に陣取った。
 取材は相川俊英というジャーナリストである。この人「長野オリンピック騒動記」という本を書かれている。運よくうちの本棚にもあったので再読をしてみようっと。
 さて、安城市で起きた談合問題でその談合に関っていた建設業者が談合告発を行った。サンプロ司会のうじきつよしは言う。
「脱談合宣言をしたある男性の命を賭けた闘いです」
 冒頭から大層なものの言い方だった。でも3つ以上の怪しさを感じないと批判してはいけないと思っているので、胡散臭さを感じながらも見続けた。
 それにしても解りやすいリポートだった。勧善懲悪、告発をした人は生い立ちから家族のことまで克明に描き、なぜ告発するに至ったかを懇切丁寧に映し出している。かたやその対極になる行政、業者などについてはすべて「悪」であるという印象操作がなされている。
 例えばこんなふうにである。ジャーナリストは当時の市議会議長に警察への告発を見送った経緯について取材している。そのインタビュー自体には被写体を敢えて逆光で映し表情に濃い陰影を落とす以外の悪意は感じられなかったが、ナレーションで「○○議長は、建設業界出身である」と殊更に視聴者が議長も談合擁護派のような印象を与えている。実は議長、百姓なのだ。たまたま農閑期に手伝いに行ったに過ぎない。
 またこのジャーナリストは言う。
安城のように誰もが顔を知っているような町で談合を告発するのは大変だ・・・」
 おいおい、安城市は人口17万人の中堅都市でっせ、誰もが顔を見知ってはいないって。これで胡散臭さが3つになってしまった。でも、もう少し我慢をしてみることにしよう。
(「談合とテレビ(2)」に続く)