第3の悲劇

 有楽町線新富町駅近くのホテルに宿泊した。ここからなら東京ビッグサイトまで30分で楽勝に到着できるからである。それでも講演会の始まる1時間前にはチェックアウトして、コンビニに寄って、新大橋通にある4番口を降りていった。改札まで行って、切符売り場の上に掲示してある地下鉄路線図(料金入り)を見て金額を確かめようとしたのだが、目的地の「新木場」が見つからない。そこでよく探せばよかったんだがせっかちなワシャはピンと閃いた。
「あ、新富町に下りたつもりが、築地(日比谷線)に迷い込んだんだな」と思ってしまった。ここで東京のポケットマップを確認すればよかったのだが、通勤客がまわりにワンサカいたので、ついつい見栄を張って見ずにまた新大橋通りに上った。そこから随分と北へ歩いて「有楽町線新富町」と書いてある表示を確認して、地下へ下りた。何度も折れながらやっと改札に着くと、そこはさっきと同じ場所だった。
「うぎゃあああああ!」
「なんなんだ。この白昼夢は・・・」
「ワシャなにを間違えたんだ」
 あわてて重いカバンを抱えると、4番出口を目指して階段を駆け上がったのだった。あと30段で地上というところで、ふっと思いついた。
「おれはもしかしたらずっと新富町駅で遊んでいただけではないか」
 ここでマップを開いた。4番出口は確かに新富町駅に通じている。再び階段を降りようと思ったが、万一ということもあるのでと、地上まで出て4番出口に「有楽町線新富町」とあるのを確認して、元の改札に戻った。振り出しだ。再度、地下鉄路線図を見上げると、「新木場190」と書いてあるではないか。(ワシャってバカ?)

 このさまよい走りで20分のロスである。コンビニで10分使っているから、残りは30分、ぎりぎりになってしまった。おかげでお台場を大きなカバンを抱えて猛ダッシュする羽目になった。

 むちゃくちゃハードな一日だった。(ゼイゼイ・・・)