昨日に続いて犬の話題

 昭和62年、神山征二郎監督、新藤兼人脚本で「ハチ公物語」という映画が作られた。ご存知、渋谷駅頭に佇んでいるあの忠犬の映画である。
 物語は(実話なのだが)、秋田の片田舎で生まれた子犬が、東京大学の上野教授の家にもらわれてハチという名をもらう。上野教授にかわいがられて成長したハチは教授を毎朝、渋谷駅まで送り、毎夕、迎えにゆくのが日課となる。そんなある日、上野教授は外出先で急死ししてしまう。その現実をハチが理解できるわけがなく、大好きな上野教授が渋谷駅頭に現われないから、ハチはその後も10年にわたり、雨の日も風の日も雪の日も渋谷駅に午前9時と午後6時に通いつづけた。けっして現われない飼主を待ちつづけた・・・という感動のドラマである。
 ハチは畜生にもかかわらず、上野教授の恩に報いつづけた。死ぬまで忠義をつくしたのである。どうだ、獣でも「報恩」ということを知っているのだよ。ハチに比べると、今の社会には獣以下の人間が如何に多いことか・・・
「ハチ公物語」では大正末期の渋谷駅が再現されているが、現在の雑踏の渋谷とは隔世の感がある。それを見るだけでもこの映画は必見ですぞ。

 1934年(昭和9)の今日、渋谷駅前に「忠犬ハチ公銅像」が除幕された。以来、日本一の待ち合わせ場所としてハチ公は全国的に有名になってゆく。ある意味で幸せな犬である。