ご記憶だろうか。平成13年3月19日にBIE(万国博覧会国際事務局)総会で愛知万博の開催が決定され、それを受けてトヨタを中心とする中部財界人がミスター万博こと堺屋太一を万博の最高顧問に引っ張り出した,ということを・・・
そして堺屋は就任してわずか3ヶ月で最高顧問を辞任をする。この一連のどたばた劇を、堺屋騒動という。
発端はこうである。海上の森の問題で紆余曲折を強いられた中部財界や通産省は起死回生の一発として、大阪万博、沖縄海洋博などを手がけてきた堺屋を愛知万博に関与させることで閉塞感の強い現状をなんとか打破しようとした。そして最高顧問に就任した堺屋は就任早々、とてつもないビジョンを打ち出してくるのである。海上の森問題以降、深く議論に関ってきた市民グループに対して「万博はプロの行事だ。五輪のマラソンに市民は参加すべきではない」と言い放ったのである。この意見は確かに過激だが、正鵠を射ている。観客としては市民の手作りの万博など見たくもない。そんなクソ面白くもないものは普段から生活のあちこちに腐るほどあるのだから。
堺屋の思想も大阪万博の幻影に取り憑かれた固陋なものなのかもしれないが、万国博覧会を一大文化ページェントと考えれば、いかに非日常性を演出するかが成否の鍵を握っているのである。その点については、まさに堺屋の言うとおりなのだ。
(「堺屋騒動 その2」に続く)