すまじきものは宮仕え

 3日の朝日社会面にあわれな記事が載っている。
 文部科学省の係長が市民団体の申請した大臣の賞状を作成するのを忘れてしまって、苦肉の策で自分の手で手作り表彰状作成してしまったとさ。
 文部科学省はこのノンキャリの係長を懲戒処分にしたうえ、更に刑事告発するんだそうだ。おかわいそうに……。
 人間だもの、忘れるってことあるよね。この係長、市民団体から催促され、忘れていたことに気づき、なおかつ手続きがもう間に合わないと分ったときには、気が遠くなったのではないか。で、上司には言い出せなかったのだろう。キャリアの上司は手続きやルールにはやたらうるさいからね。
 考えてみればたかが文部科学大臣の賞状1枚でしょ。
「課長、市民団体に賞状を1枚、発行するのを忘れていました」
「あ、そう、そんなら、判子ついてもう1枚つくっちゃえば」
「そうですね、判子なんて減るものじゃなし、間に合わなければ市民団体もがっくりでしょうから」
 って、作っておけばいいものを、よっぽど上司が相談しにくい鈍だったんだね。
 第一、小泉内閣文部科学大臣の価値など、低下の一途である。賞状だって大して価値のあるものとは思われない。そんなものをがんじがらめの手続きで固めてさ、ごたいそうに奉っているから、こんな悲劇(喜劇かも)が起きるのである。
 偽造というが、止むに止まれず窮余の策で、必死に大臣印を手書きしているのである。健気ではないか。懲戒処分にしたんだ。刑事告発までしなければならないほどのことだろうか。巨大化し閉塞化してしまった老いた組織に仕えるというのはあわれなものよ。