犯罪者は増殖中

「渡る世間に鬼はない」この言葉は死語になった。
 今や「人を見れば盗人と思え」「人を見たら鬼と思え」「明日は雨 他人は泥棒」「疑いは安全の母」というご時世なのである。
 見ず知らずの会社から、職場に電話が入れば、「マンションを買いませんか?」という。つっけんどんな対応をしていると、電話の相手は豹変し罵詈雑言を吐き、何度も何度も執拗に電話を掛けて業務の妨害をしてくる。
 家の電話が鳴れば「新型オレオレ詐欺」だ。「息子さんが事故に遭った」「旦那さんが事故に遭った」と優しく示談を持ちかける警官は、もちろん「なりすまし」である。こいつもつっけんどんに相手の矛盾をつけば豹変するよ。
「お宅様のご主人様が交通事故を起こされまして・・・」が「てめえ、なめた口をきいてんじゃねえよ、殺すぞ」になる。化けの皮一枚はがせば凶暴な牙を持った長虫のように醜悪な犯罪者になるのだ。
 呼び鈴がなれば「市役所のほうから来ました」だの「消防署のほうから来ました」と名のって消化器を法外な値段で売りつける犯罪者や、郵便物をかってに送りつけてその対価を請求するという巧妙な犯罪もある。最悪なのは玄関を開けたとたん強盗に変身し押し入ってくるという言語道断なものも頻繁に起きるようになった。
 路上だってスーパーの駐車場だって安全ではなくなった。犯罪者が虎視眈々と無防備な市民を狙っている。
 言い古されているが、もうこの国は安全な国ではなくなった。個人主義が蔓延し相互監視をしなくなり地域の自浄作用が効かなくなって犯罪者に付け入る隙を与えてしまったのである。
 以前にも書いたが、犯罪者は市民生活の中にじわじわと蔓延り出している。隣人が犯罪者ではないといいきれない。犯罪者でなくとも犯罪者になる可能性があるかもしれない。暴論に聞こえるかもしれないが、罪を犯して相対的に失うものの少ない奴は犯罪に手を染める可能性があると考えたほうがいい。
 浅ましい鬼畜が増殖している。「不意の犯罪 不断の注意」である。犯罪者(人)に対する警戒を怠ってはいけない。