確かに犯罪者は悪いが……

 今朝の朝日新聞社会面。タイトルは《「宅配便で送金を」またオレオレ被害 819万円、愛知の80代女性》とある。内容は「愛知県江南市の女性がオレオレ詐欺の被害に遭った」というもの。犯人は「息子を名乗って現金を宅配便で送らせる手口」なのだそうな。
「会社の金を使い込んだ。明日までに700万円いる。コンビニから宅配便で東京都渋谷区のアパートまで送ってほしい」と江南市内に住む息子から電話があった。だから80代の女性はあわててコンビニまで走って宅配便で現金を送ったんだとさ。
 その3日後、また同じヤツから電話があって「消費者金融の119万円も返したい」と頼まれて、指定された口座に振り込んだ。
 確かに犯罪者は悪い。しかしこれだけ「オレオレ詐欺」が人口に膾炙しているのである。市内に住む息子から電話で「金を送れ」と言ってきた瞬間に「おかしい」と思わないのがおかしい。「取りにおいで」と言えば済む。
 それに「現金を宅配便で送れ」と言っている。80年も生きてきて、常識として「宅配便で現金を送る」ことが不自然だと感じなかったのだろうか。
 さらに、近所にいる息子に「渋谷に金を送れ」と言われて、疑問を持たないほうが不思議だ。
 さらに3日後の「119万円」である。今度は「口座振込」を指定している。「前回は宅配便だったのに今回は口座振込?なにかおかしい」と思わないのだろうか。
 ここまで4つもおかしな点があるのだが、被害者はそれらの疑問点で立ち止まって考えるということをしていない。少し頭をひねれば「騙されている」ことに気づくでしょ。これは被害者のほうにも問題があるのではないか。
 この被害者が痴呆症などの病気だというのであれば話は別だ。正しい判断ができないのだから、そのことを責めてはいけない。そういう人であれば、そういう人にすぐに動かせる何百万円もの金額を持たせてはいけないという話になる。
 どちらにしても、この記事の被害者に100%の同情はできないのであった。もう少しリテラシーをつけようよ。