祝!退院

 一昨日、退院する。手術後の経過は順調で傷口の痛みはない。ただ麻酔の後遺症で、ひどい頭痛に悩まされている。横になっていればなんともないのだが、頭を上げていると痛みはじめ、耳が遠くなって眩暈に襲われる。このために昨日は家に帰っても一日床から離れられなかった。今も頭を上げてパソコンに向かっているので、軽い痛みが後頭部から左側頭部にかけてある。病気休暇は今日までで、こんな状況で仕事復帰できるのかが不安だ。
 入院中は点滴をうっていたので、頭痛には襲われず快適だった。だから、あらかじめ退屈を予測し持ちこんだ書籍はことごとく読んでしまって、仕方がないので売店文藝春秋を買って、いつもはお目当ての記事しか読まないのだが、暇だったので隅から隅まで読みきってしまった。
 蓋棺録という有名人の死亡報告コーナーが巻末にある。今回は中嶋らも、渡辺文雄下條正巳らが掲載されている。中島らもについては、別掲で奥さんの手記「ありがとう、夫・中島らも」が別掲されており、そちらもらもの人となり、生き様が赤裸々に綴られていて面白かった。
 渡辺文雄の記事のなかに、これまで食べてきたもののなかで一番おいしいものは何かという話で「終戦直後に食べた飯盒の飯だった。四分の一に醤油をかけて、オカズにした『そのうまかったこと。今もう一度やったら大事な思い出が消える。だから、それ以来食べていない』」と答えていた。この個所を読んで、病室のベッドの上ではたと膝を叩いた。
 1年前、中学校の同級会を15年ぶりに開催した。久しぶりに懐かしい顔ぶれに再会し楽しいひとときを持った。その中に中学校のころからプレーボーイで鳴らした男がいて、しきりに当時クラスで人気のあった女を口説いていた。そしてどうやら焼け棒杭に火がついたらしく、双方とも所帯持ちにも関わらず肉々しい関係にはまってしまった。まぁ世間ではよくある話であり、うちのクラスでもあったということである。
 そのことを同級会が終わって何日かしてから男のほうから聞かされた。女が人気のあった娘だっただけに複雑な気持ちだったが、とくにうらやましいとは思わなかった。その気持ちがうまく整理できずにいたのだが、前述の記事でまさに腑に落ちた。男は中年の女を抱いてある種の達成感はあったのだろうが、「思いでの飯盒飯」を食ってしまったということなのだ。
 入院中にいろいろとニュースが飛び込んできた。大相撲も始まっているし、入院のことも書いておかなければいけない。頭痛はおさまらないけど明日からまた頑張ろうっと。